「なぁきゃんみせ」設立趣旨

大都市を除き、個人商店の無い地域が増えています。中小都市の商店街がシャッター街と呼ばれるようになったのはもうずっと昔のことです。商店街から、魚、野菜、乾物類、お惣菜、雑貨などの専門店が減り、かつてどこの集落にも最低一軒くらいはあった日常生活の必需品を置く便利な店も無くなりつつあります。そこはまた近隣の人々のコミュニケーションの場でもありました。

　駐車場も無いような個人商店や専門店に対して、市街地のスーパーマーケットやホームセンターでは、生活に必要なものの品数が多く、手ごろな値段で購入できます。車の運転さえできるなら、野菜など自給できるものを除き、時々まとめ買いすれば楽です。ところが高齢者の一人暮らしで車の運転をしなくなると、本数の少ないバスで街まで買い物に行くか、移動販売に頼るしかなくなります。生活の不便さは過疎化を加速する大きな要因です。

　奄美大島の瀬戸内町に限ってみると、行政や商業の中心となる古仁屋以外ではやはり商店のない集落が増えています。海や山に囲まれ穏やかで豊かな自然があっても、生活の不便さはやはり過疎化に歯止めのかからない大きな要因となっています。観光やスポーツの合宿などで瀬戸内町に滞在する方たちが、広くて変化のある地域に数多く点在する集落を訪れたとき、商店のような誰にでも開いていて話のできる場所が無いと、地元の生活、文化や歴史に接することも、特産品を見つけるのも難しいのではないでしょうか。

　そこで私たちは瀬戸内町阿鉄集落内の空家を整備して日常生活品を置く店を開くことにしました。店の名前は「なぁきゃんみせ」(土地の言葉であなたたちの店という意味)です。ここに近隣でとれる野菜、果物、加工品や工芸品を置き販売するのですが、誰でも入会すれば出荷できるようにしました。新鮮な野菜や果物、ここでしか手に入らない物も見つけることができ、地域の情報が得られ、コミュニケーションの場となる、そういう店にするつもりです。皆様のご協力をお願いします。

NPO法人セイラビリティ奄美

代表　高野 洋志